煮物、椀物、鍋物・・・おでん考

2020年6月30日


当坊のプロジェクト“O”がスタートしました。OはOdenのOですが、和洋中こだわらず素材を色々な出汁やスープで美味しく炊く料理はすべてO。そのような料理を提供しようと考えています。そして、その為にちょっと種や仕掛けを考えようとしています。

 

はじめに

日本料理の要は出汁といっても過言ではありません。調理場も毎日々出汁を引いています。そこで出汁の種類を調べました。カツオ、昆布は有名ですが、・・・・あります。

では世界の出汁はどの様なものがあるかと言うと、中華料理では鶏肉、鶏ガラ、鶏骨、豚肉、中国ハム、貝柱、エビ等を使用します。韓国料理・朝鮮料理では、牛肉、鶏肉、貝等、

西洋料理では牛、鶏、魚といった動物質の素材に野菜類や香草類を加えて作ります。

フランス料理はコンソメやポタージュに用いるブイヨンとソースに用いるフォンがあります。同じ大根でも世界の色々な出汁を単体や組み合わせて色々な素材を炊いたら、どうなるか?

それは“おでん”と言ってもおかしくないのではないかと考えたのです。
そして料理の幅が広がるし、グルテンフリー、ビーガン、ベジタリアン等、多様なニーズに対応できるのではないかと考えました。

 

十人十色を目指して

同じものをお出ししても喜んでいただける人とそうでない人もいます、そして量も多いとか少ないとか言われます。私どもは出来るだけ多くの人

に喜んで頂きたいと考えているので、品物や量を選択して頂けるようにできれば良いと考えています。そこで5種類ぐらいの出汁で、それぞれ5種類ぐらいの具材を炊けば25種類の料理が出来上がります。それをいくつか選択してもらうというのを目指したいと考えたのです。

種も仕掛けもアリマス

高級おでん屋専門店でも2~3種類の出汁を使用しています。それを料理の一部で5種類の出汁で多様な素材を炊くというのは馬鹿げている話です。しかし現代は色々な調理機器があります。その調理機器を活用できれば可能なのです。

その一例をご紹介いたします。

 

(1)見た目は風呂吹き大根

大根を下処理して十分な柔らかさまで熱を加えます。明石鯛の骨や身を使用して濃厚なスープを作ります。大根と濃厚スープを減圧調理器に入れます。70℃で減圧と通常の圧力と3回繰り返します。そうすると大根に濃厚な鯛のスープが浸み込むのです。そして大根の上に味噌をかけて出来上がり。見た目は全く普通の大根の日本料理ですが、手法的には西洋料理かもしれません。

(2)見た目は巾着

うす揚げの中に分葱とショウガ、貝柱を入れ、貝柱のスープで煮込みました。

見た目は普通の日本料理の巾着。でも干し貝柱の濃厚なスープは日本料理というより中華料理に近いかもしれません。

(3)見た目は海老しんじょう

荒めに刻んだ海老と細かくミンチにした海老に丹波芋を練りこんで“しんじょう”を作りました。エビの殻などを使って海老の濃厚なスープを作ります。これを減圧調理器を使用して海老のしんじょうをより濃厚な味に仕上げます。もちろん炊くスープは干し海老を使用したスープです。これも見た目は普通ですが、一味違うと思います。