26号室(谷崎潤一郎 所縁)

エリア:聴水御所坊 二階

部屋名: (ラク)

部屋番号:26号室

部屋ランク:天楽

※ 画面をクリックして頂くと、部屋への案内動画にリンクしています。

部屋詳細

谷崎潤一郎はしばしば御所坊を利用していたようです。関係者によると「細雪」の有馬の舞台は“花の坊”と書かれているが、実際に泊まったのは御所坊だとという事です。

「猫と庄造と二人のをんな」に御所坊は実名で出てきます。庄造の前妻・品子は現在の妻・福子に対し、雌猫のリリーを譲って欲しいという手紙を出した。福子は夫の庄造に「譲ってあげなさい」と言うが、彼にはそういう意志は無い。福子は自分以上にリリーが夫に大事にされている状況に耐えられなかったのだ。夫婦喧嘩の末に庄造は猫を品子に譲る事に同意する。

リリーは以前にも他人に譲られた事があったが、その時も自らの意志で庄造のもとに戻って来たので、彼は今回もそうなるだろうと期待していた。リリーが品子の所に移って、庄造は雌猫を思い出しては懐かしんだ。品子のもとに到着したばかりのリリーは品子になつかず、彼女の思った通りに動いてくれない。猫の面倒を診る事がこんなに大変だとは彼女にしてみれば予想外だった。しかし次第に両者ともに打ち解け合い、品子は猫とはこんなにもかわいいものかと思い始める。庄造はリリーが恋しくてたまらず品子の留守中にこっそりと家を訪ねる。虐められていやしないかと心配していたが、意外にもリリーが大切に飼われている痕跡を見つけ安堵する。リリーと久しぶりに会ったのもつかの間、品子が帰宅し、庄造は見つからないよう慌てて家を後にする。

「猫好き」でも有名な谷崎は、とりわけ「雌猫」を寵愛しました。女性の分身ででもあるかのような猫を死後も剥製にして可愛がるという、 一種異様なその「愛のかたち」は、マゾヒズムの倒錯とどこかで共鳴するのかしないのか?芦屋に谷崎潤一郎記念館が有ります。

天楽26号室